※悪い男 2
「ひ………っ」
「大丈夫。ローションだからすぐ温かくなるよ」
 怯えて振り返るイルカを宥めるように、カカシの手が尻たぶと太腿を撫でる。
 ぬるぬるとした感触はローションの所為なのだろうか。冷たかったそれはイルカの体温で温まって気にならなくなって来たが、カカシの指が時折きわどいところを掠めるため、内股が無意識にビクビクと痙攣する。
 男同士が何処を使うかは、何かの拍子に仲間内の会話の中で出たことがあったから一応は知っていた。だが、自分には関係ないものとして深く聞くことはなかったし、実際イルカは一度も経験することなく戦忍時代を過ごし、内勤として働くことになった。
 カカシははっきりと言わなかったが、今回のことはイルカに恨みを持つものにそういう嗜好があり、自分の欲望を満足させるためにイルカを攫って甚振ろうとしたのだろう。
 だから、カカシはイルカに対して危機感が足りないと言ったのだと、今更ながら気付く。
 不安そうなイルカの眼差しに気付いたカカシが、ふっと笑みを浮かべた。
 ぬるつく指が後ろの孔を押すように撫でる。
 まさか、と思いながらもイルカはどうすることも出来ずに身体を硬くする。
「力抜いててね」
「…カ、カカシさん…!」
 ぐにっとカカシの指がイルカの後ろの孔に潜り込む。
「あうっ…っ」
 ローションをまとった指が入り口をほぐすように何度も弄くり、徐々に奥へと進んで行く。
「ああっ、やめ、…やめて!」
「ほら、力抜かないと」
 カカシの指が中でぐにぐにと動き、イルカは悲鳴を上げる。
 いつもは出すだけの場所に何かを銜え込むという行為は、イルカを酷く打ちのめした。
「うそ、…嘘だっ……っ」
 床に顔を突っ伏し、何度も嘘だと頭の中で叫ぶ。
 だって、相手はカカシだ。
 女性にモテることも知っていたし、里で恋人らしき女性と歩いている姿も見たことがある。噂好きの友人から、いかがわしい界隈で女連れのカカシを見かけたという話だって数え切れないくらい聞いた。
 男色だという話は一度も聞いたことがなかったのに、カカシが施す手管は慣れているように的確だ。しかし、ぬぐりと奥に入り込む異物への不快感で、イルカは快楽を上手く拾いきれない。
「や、……やだ…もっ…」
 イルカを襲った男が自分にしようとしたことを教えるにしても、こんなのは性質が悪すぎる。
 カカシはイルカを助けてくれたのではないのか。
 逃げ出そうにもカカシの足がイルカの太腿の上に乗って動かせない。
「…ひぐっ」
「ここ、…かな?」
 中で蠢く指が探るように移動する。
「っ、んぅっ!!」
 何が起こったか分からなかった。
 頭の中が真っ白に染まり、痺れのような衝撃に身体を小刻みに震わせる。
「……気持ちイイの?」
「…わ、……わか、分からな……っ」
 ずるりと指が抜け出ても、がくがくと震えは止まらない。
  
「はっ、はぁ…はっ……」
「イルカ。イルカせんせ、まだ終わってないよ」
 思考を放棄していたイルカにカカシの無情な言葉がかけられる。
 腰を掴まれ持ち上げられると、両腕は後ろに回ったままなのでお尻を突き上げるような体勢になる。それを恥ずかしいと思う余裕は今のイルカにはない。
 指で後ろの孔を広げられ、そこに指ではない何かが押し込められる。
「あっ、ああああああっ」
 硬く無機質なものをカカシはゆっくりと、だが無遠慮に押し込み、イルカの顔を覗き込む。
「スイッチ入れるよ」
「~~~~~っ」
 くぐもった悲鳴を上げてイルカは身体を痙攣させた。
 電動マッサージからの振動が腸内を抉りながら刺激する。イルカは痛みとは違うそれに歯を食いしばって耐えていたが、先端が先程指で弄くられた箇所に当たると、ぶわりと身体中に熱が集まり未知の刺激にあられもない声を上げて身悶える。
「っ……ひぅ、…カ、カカシさ……やめっ、やめて、下さ…」
「どうして?…気持ちイイんでしょ?勃ってるよ?」
 それまで一度も触れなかったイルカの前に手を這わせ、ぎゅっと握りこむと後ろに突っ込んだ電動マッサージをぐちゅぐちゅと動かす。
「ひっ…やぁっ!……あうっ」
 どうしてこんなことになったのか。
 一度溢れ出た涙は止まることを忘れて床を濡らし、床に擦り付けたままのイルカの頬をぐちゃぐちゃに汚した。
「カカ…さん、…どうして……っ…なんで、こんな…」
 前と後ろからの刺激でイルカは息も絶え絶えにカカシを見上げる。
「…どうしてかって?」
「……うあっ、…んんっ…」
 後ろに突き立ったものを乱暴に引き抜かれ、イルカは痛みに身体を竦ませる。
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2010.12.18
- 2010/12/18 (土) 14:37
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